これからの家はどうなるの!?~ウッドショックがもたらす影響~
2022.11.10
みなさんは、「ウッドショック」を知っていますか?テレビなどの様々なメディアで、少し前からよく耳にしますよね。現在、その「ウッドショック」が木造建築・木造住宅市場で大きな影響を及ぼしているんです。そもそも「ウッドショック」とは何なのか。「ウッドショック」によって今、国内の住宅市場はどんな影響を受けているのか。気になる「ウッドショック」のあれこれをまとめてみました!マイホームを建てたい!家を購入したい!など将来的にお住まい探しをされる方必見です!
ウッドショックって?
ウッドショックとは、簡単に言うと「供給不足によって木材の価格が高くなる」ことです。ウッドショックの始まりは2021年初春頃。住宅を建てる場合、柱や梁、建物の土台、フローリングなどに木材を使用するのですが、この木材が現在不足状態に陥っているんです。それによって価格が高騰し、木材建築市場において大きな影響を与えています。ただでさえ土地や建築費の価格が上がってるうえに木材価格も上がっているので住宅市場だけでなく建築市場全体が打撃を受けているんです。
ところでみなさんは「オイルショック」という言葉を知っていますか?1970年代に起きた原油価格高騰のことです。原油価格が大きく高騰したことで、輸入資源に頼っていた日本は大きな打撃を受け、物価上昇が起き、経済成長が減速することになりました。「ウッドショック」は1970年代に発生した「オイルショック」になぞらえてこのように呼ばれています!
※「オイルショック」について気になった方は是非調べてみてくださいね!
今回のウッドショック。実は初めてではなく、過去に2回起こっているんです。1、2回目は森林伐採規制をきっかけとしたものだったんですが、今回のウッドショックは少し今までとは異なります。
今回の「第三次ウッドショック」はどうして起こったのか?その理由を詳しく見ていきましょう!
ウッドショックの要因
そもそもウッドショックはなぜ起こったのか。ウッドショックの主な原因は4つです。
1.世界的に木材の需要が急増したこと
2.輸送に使用するコンテナの不足
3.国内の木材自給率が低いこと
4. ロシア情勢による影響
ウッドショックの原因を一つ一つ見ていきましょう!
1.世界的に木材の需要が急増した
今回のウッドショックの始まりはアメリカからと言われています。中でも大きな要因の一つは新型コロナウイルスです。コロナウイルス感染拡大の感染症対策として、アメリカではリモートワークが広がりました。そこで、自宅にこもるようになった人が郊外に住宅を購入したり、自宅のリフォームやDIYの需要が高まったりと、ここ数年住宅建築需要がぐんと伸びており、住宅市場は好調に推移しています。こうした木材需要の高まりはアメリカのみならず、ヨーロッパや中国など世界中のあちこちで起きていて、その結果、木材価格の高騰「ウッドショック」が引き起こされることとなりました。
上のグラフは経済産業省のホームページより引用したデータです。見てみると、アメリカの住宅建築許可件数は2020年7月から低下時期はあるものの高い水準を維持していることが分かりますね。国内の木材流通価格の変化を表しているのが2つ目のグラフです。アメリカの住宅建築件数が上昇している2020年7月から木材輸入価格が上昇し、アメリカの木材需要の拡大により影響を受けていることがわかります。
2.輸送に使用するコンテナの不足
海外輸送の停滞やコストアップも木材価格高騰をもたらした理由の一つです。もともと、2019年にはコンテナ生産量が前年比の40%ほど減少していたところに、新型コロナウイルスによって製造工場の稼働率がさらに低下しました。
その結果、コンテナ製造量が減少したので不足することになったのです。さらにロックダウンや移動制限によって荷積み作業員が減ったことでコンテナが停滞してしまいスムーズな輸送ができない状態になってしまったんです。特に日本は島国なので、コンテナでの物流停滞は大きな影響を与えています。
3.国内の木材自給率の低さ
みなさんは日本が【世界有数の森林大国】だということを知っていましたか?普段、都内やひとが多く暮らす住宅街で普通に生活していると、あまり実感がわきませんよね。実は日本の国土の2/3は森林で、そのうちの40%が人の手によって植林された人工林なんです。国内の木材需要のうち国内生産量の占める割合を「木材自給率」というのですが、林野庁によると2020年の日本木材自給率は【41.8%】。2011年から9年連続で上昇しており、改善傾向にあるのですが、まだまだでは住宅用木材の【約6割】を輸入で頼っています。その理由としては、①国内の木材よりも輸入木材の方が安価なことや②林業従事者の高齢化が進行していることなどがあげられます。
日本の木材輸入木材の価格高騰をきっかけに、「国内材に切り替えよう!」という意見もありますが、簡単に国内材の供給を増やすことはできないのが今の現状です。
4.ロシアの情勢による影響
今深刻な「ウッドショック」も2021年の終わりには回復傾向が見られていたんです。ですが、2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻によって、ウッドショックはさらに深刻な状態に陥っていきます。2022年の終わりにロシア政府は日本を含む非友好国に丸太や単板などの木材の輸出を禁止する決定を下しました。日本にとってロシアは、EU、中国に次ぐ木材輸入国になっていて、ロシアのウクライナ侵攻は日本の木材不足の後押しをしているのです。
ちなみにロシアは世界全体の木材輸出のなんと【約21%】の割合を占めていて、今後のロシアの動向次第で世界のウッドショックがさらに過熱し、長引くかもしれないとも言われているほど大きな影響を与えていることがわかります。
不動産に及ぼす影響は?
ウッドショックは不動産において様々な影響を与えています。
以下の二つは、お住まい探しをされるうえでかなり重要なので見てみましょう!
1.木材不足による着工の延期や見送り
ウッドショックにより、木材が確保できず工事を延期せざるを得なかったり、着工自体が見送りとなってしまうケースがあります。下のグラフは「新型コロナウイルス感染症拡大以降の、新設住宅着工数」を表しています。新型コロナウイルス感染者数の減少にともない、賃貸、分譲住宅ともに緩やかに上昇していますが、2022年3月ごろロシアのウクライナ侵攻によって着工数は大きく減少しています。
分譲住宅の内訳を戸建てとマンションに分けたのが上のグラフです。戸建てはコロナ禍でも緩やかに増加しているのがわかりますね。一方でマンションは増減が激しく2022年春頃から急激に減少していることがわかります。2022年1月から5月の間だけでこんなに大きく変動が起こっていることは驚きですね!
2.物件価格の高騰
ウッドショックの影響が最もわかりやすく出るのは物件価格の値上げです。上のグラフは住宅の建設工事費の推移を表しています。2021年5月あたりから「ウッドショック」によって木造住宅の建築工事費の上昇率が、非木造住宅の上昇率を上回っていることがわかりますね。
またウッドショックはこれから建てる家、新築だけでなく、中古市場へも影響を与えているということを知っていますか?先程述べたウッドショックによる工期遅れや新築物件価格の値上がりによって新築から中古へと相当の数の需要が流れ込みました。需要が旺盛であればあるほど価格は上昇します。中古の住宅の価格はウッドショックにに間接的な影響を受ける形で値上がりが起こっているんです。
ウッドショックはいつまで続く?
2021年に起こったウッドショック。当初は、「ウッドショックの影響は一時的なもの」と言われていました。2022年11月現在、ウッドショックの見通しはさまざまな見解があるんですが、正直終わる見通しは今のところ立っていないのが現状です。
新型コロナウイルスは収束とまではいきませんが、少しずつ規制も緩和されています。コロナウイルスと共存という形が進み、産業もストップしてしまうような事態にはなってはいません。そのためウッドショックも収束に向かうのだと思われました。
ですが2月のロシアによるウクライナ侵攻によって、落ち着いていたと思われていた木材供給の回復に再びリスクが生じることとなってしまっています。
やはり「新型コロナウィルス」や「ロシアの動向」が今後のウッドショックのカギを握ることとなっていきそうです。
まとめ
いかがでしたか?本日は、今噂されているウッドショックについてご紹介しました。住宅を造るうえで欠かせない「木材」。ウッドショックはしばらく続くと考えられるので、お住まい探しの際は慎重にかつ、スピーディーに行うことも重要だと思います。物価上昇に伴い、やはり住宅の価格も上がっていくのでお住まい探しを後まわしにしたり、長期化したりせず、大変ですが短期間で少し頑張ってみるのもおすすめします。不動産の購入は人生で最大の買い物といっていいほど人生の一大イベントですよね。ウッドショックや今の建築市場の状況を考慮しながら、後悔のない買い物をしましょう!
本日もご覧いただきにありがとうございました!
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更新日 2024年07月28日
公開日 2022年11月10日