一大歓楽街・浅草六区

2023.09.22

「浅草」と聞くと、多くの人は「浅草寺」を思い出すのではないでしょうか。
実は浅草にはもう一つの名所「浅草六区」というエリアがあります。
浅草寺だけに行くのはもったいない!今回は浅草の歴史のディープな一面をご紹介します。

浅草六区の歴史

1873年、政府より浅草寺境内が公園に指定され、七つの区画に分けられました。
その中でも、現在の住所で言う浅草一丁目・二丁目・浅草寺の西側一帯が「浅草公園六区」と呼ばれ、浅草寺に参拝する人や観光客でにぎわう場所となりました。

そして、大正から昭和にかけて、映画館や演劇場、オペラ常設館などが軒を連ねるようになり、浅草は東京の娯楽の中心地となりました。

しかしながら、テレビの登場等により娯楽が多様化や都市開発によって、流行の中心地は次第に渋谷など西側に。
一時はかつての繁栄ぶりが嘘だったかのように凋落していたようですが、住民らの努力により再び活気を取り戻し、現在では別名「六区ブロードウェイ」として、地元民にも観光客にも愛されるエリアとなっています。

凌雲閣

1890年に竣工した高さ52m・12階建ての高層建築物。
「浅草十二階」とも呼ばれ、当時の日本では最も高い建築物でした。
日本初の電動式エレベーターが設置され、高所から景色を眺めるのがブームだった当時は、多くの人でにぎわったそうです。

次第に客足が衰えるようになり、経営不振に陥った際には、日本初の美人コンテストと言われる「東京百美人」が開催されました。
12階までの階段に花街から選ばれた芸者100人の写真が貼り出され、最後に投票できる仕組みで、その中から上位5人が選ばれ、表彰されたそう。
5日間で約50000人もの人が集まり、大盛況のイベントとなったようです。
もちろん投票するには入館料が必要。
“推し”を優勝させるために、足繫く通った人もいたようですから、現代のアイドルのイベントと似たものを感じますね。

しかしながら経営難は続き、ついに1923年の関東大震災では8階から上が折れる形で半壊し、そのまま解体となってしまいました。

現在、跡地には「オーケー浅草店」や飲食店が建っています。

浅草花屋敷

日本最古の遊園地と言われる「浅草花やしき」。
なんとその歴史は江戸時代にまでさかのぼります。

1853年、植木商の森田六三郎により「花屋敷」という植物園がつくられました。
だから遊園地なのに「はなやしき」という名前なんですね!
当時は茶人や俳人、大奥の女中の憩いの場として利用されており、遊具はブランコのみが設置されていたそう。
最初は上流階級の人々の利用する場でしたが、しだいに庶民に向けた催しも始まり、トラやクマなどの動物や見世物の展示が行われました。

植物園として始まった花屋敷は、その後時代とともに動物園、子ども向け娯楽場など姿を変えながら、1949年に「浅草花やしき」に改名、1953年には「国産初のローラーコースター」が登場しました。
日本初となるタワー型垂直打ち上げ式アトラクション「スペースショット」、本物の幽霊が出ると有名なお化け屋敷など、その後も人気アトラクションが続々登場。
現在も多くの人に愛される遊園地となっています。

電気館

1903年、日本初の映画館ができたのも浅草でした。
貿易会社であった吉沢商店が「日本で初めての常設活動専門館」としてオープンしました。
当時、映画は映写機を設置し、様々な場所で上映する移動式が中心で、映画だけを上映することを目的とした施設はここが初めてだったそう。

浅草の映画館誕生以降、全国に続々と映画館ができました。
浅草六区には、その後1908年に富士館、大勝館もでき、浅草六区は日本の映画興行の中心地となりました。

電気館は1976年に閉鎖となった後は更地となり、現在は商業店舗と賃貸マンションになっています。

新世界

映画人気が衰え、流行の中心地は次第に渋谷など西側に移っていき、東京の娯楽の中心地だった浅草六区の人通りは激減しました。ショー劇場や映画館も次々と閉館に。

そんな浅草にかつての活気を取り戻したいという思いから、1959年にできたのがこの「新世界」でした。
地下2階から地上7階建てで、屋上には展望台まである大規模なデパートです。
大温泉浴場やキャバレー、屋内遊園地にプラネタリウムまであり、「娯楽のデパート」と言われていたそう。

開業当初は多くの人でにぎわった新世界ですが、翌年には急速に客足が衰え、13年後には閉業となりました。

跡地は日本中央競馬会に渡され、現在も場外馬券売り場(ウインズ浅草)が建っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今も観光客でにぎわう浅草ですが、娯楽の中心地として栄えていた時代もあったのですね!
当時とはガラッと印象の変わった現代の浅草六区エリアですが、過去の話を知ると、かつてのにぎわいが目に浮かんできそうです。

浅草の街中には歴史を紹介する立て看板がいたるところにあるので、訪れた際は足を止めて見てみてもいいかもしれませんね!


公開日 2023年09月22日

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